新潟・瀬波からの帰り道は、ちょっと忙しかった。
一緒に行った彼の先輩に急な仕事が入り、予定の時間よりも随分早い出発となった。
後部座席で名残惜しそうにしてる女子2人に贈られた、ささやかな冬の時間。
ありがとう。冬にしかできない、冬らしい時間。
彼と最初に出会った季節は冬。
その時も、こうして白鳥にエサをあげたことを覚えてくれてた。
本当は寒くて寒くて、一刻も早く帰りたかった…って話す彼に、車内は笑い声で包まれた。
白鳥達は、居心地の良い場所を求め、また飛び立っていく。
一箇所に留まれない白鳥。彼もまた、渡り鳥。
飛び立った地の居心地が悪くなったら、また戻っておいで。