あ、お酒が飲めなかったのは、すずだけね。
なんか、この日はチグハグだった。
3日がオヤスミと決まった時から、お気に入りの居酒屋で「新年会しよ」と約束してたから、そのツモリで動いていると、お昼すぎに「今スグ来て」と、彼からメール。
突然の誘いは、毎度のことで、もう充分に慣れたけど、今回はあまりにも唐突すぎて「これ私宛か?誰かと間違ってるんじゃない?」と、一瞬疑うほどだった。
聞けば、彼の地元の先輩宅で新年会をするんだとか。
明るい内からタップリ6時間。
いつも通り、豪快にお酒を流し込む2人の話を聞きながら、黙々とカニを捌くすず。
始まりがチグハクなら、終わりもチグハグ。
帰らないことに執着した彼と、帰ることに執着した私。
お互い相手に させたくないことがあった。
この日の待ち合わせは、彼のお家の近くのコンビニ。
彼はそこまで車で来ていた。
送っていくと言うと「ここで寝ていく」という返事。
意味が分からなかった。
帰れない理由があるのかと問うと、そういうワケじゃないと答える。
帰らなくちゃイケナイけど、今は帰りたくない…という煮え切らない彼を見ている内に、私は良からぬ想像を始め、どんどん寂しくなった。
最後は私が折れて、彼を下ろし車を自宅に向けた。
その途中、電話の向こうから「戻っておいで」と何度か投げかけられたけど、その言葉を遮って、帰ることを選択した。
どうしてだろね。
ホントは一緒にいたかったのにね。
的確な理由もなく帰ろうとしなかった彼に対して、なにか意地を張りたかったんだろう。
疑心暗鬼。この心を支配するモノから解放されるのは、イッタイいつになることやら。